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このクリニックはエレベータの無い3階建てのテナントビルの2階に位置します。
最近のクリニックは、バリアフリーというお題目のもと、
極力段差を設けない傾向にあります。
一方、歯科クリニックは、各診察台に給排水設備があるので、
床下に配管スペースが必要です。
このような事情から、一般的なテナントスペースを
完全なバリアフリーの歯科クリニックにする事は難しいのですが、
それでも多くのクリニックは入口付近に段差を設け、
クリニック内は出来るだけバリアフリーにする傾向があります。
ここでご紹介されるクリニックは、
アプローチの途中に1階から2階へあがる階段があるので、
クリニック内をバリアフリー化することに大きな意義は感じられませんでした。
それよりも、クリニック内に積極的に段差を設け、診察ゾーンのみ床を上げ、
床あげする必要のない非診察ゾーンは出来るだけ天井高さを確保し、
バリアフリーにすること以外の魅力をとったほうが懸命に思えました。
思い切って大きな階段で段差を処理し、
高低差により生まれる流れのイメージを水の流れに重ね合わせました。
「不安定な量塊感のあるヴォリュームが、水の流れを整理する」こんな感覚です。
このように段差をデザインすることで、空間の流れや広がりが感じられ、
心地よい空間になればと思いました。
歴史的に水の流れをモチーフとしたデザインがありましたが、
盲目的にバリアフリーという均質を求めるクリニックのデザインの傾向に、
私なりに疑問を投げかけてみたつもりです。