岡部克哉建築設計事務所

岡部克哉建築設計事務所 KOO
事例紹介
わたらい歯科クリニック
このクリニックはエレベータの無い3階建てのテナントビルの2階に位置します。

最近のクリニックは、バリアフリーというお題目のもと、
極力段差を設けない傾向にあります。

一方、歯科クリニックは、各診察台に給排水設備があるので、
床下に配管スペースが必要です。

このような事情から、一般的なテナントスペースを
完全なバリアフリーの歯科クリニックにする事は難しいのですが、
それでも多くのクリニックは入口付近に段差を設け、
クリニック内は出来るだけバリアフリーにする傾向があります。

ここでご紹介されるクリニックは、
アプローチの途中に1階から2階へあがる階段があるので、
クリニック内をバリアフリー化することに大きな意義は感じられませんでした。

それよりも、クリニック内に積極的に段差を設け、診察ゾーンのみ床を上げ、
床あげする必要のない非診察ゾーンは出来るだけ天井高さを確保し、
バリアフリーにすること以外の魅力をとったほうが懸命に思えました。

思い切って大きな階段で段差を処理し、
高低差により生まれる流れのイメージを水の流れに重ね合わせました。

「不安定な量塊感のあるヴォリュームが、水の流れを整理する」こんな感覚です。

このように段差をデザインすることで、空間の流れや広がりが感じられ、
心地よい空間になればと思いました。

歴史的に水の流れをモチーフとしたデザインがありましたが、
盲目的にバリアフリーという均質を求めるクリニックのデザインの傾向に、
私なりに疑問を投げかけてみたつもりです。


建物概要
工事種類
テナント工事
用途
歯科クリニック
構造別
鉄骨造
所在地
神奈川県大和市
用途
敷地面積
建築面積
延床面積
階数
地上3階建ての2階部分
構造
竣工
2009年4月